元星組のうた(帝撃定例集会?)


「……では、帝国華撃団定例集会を始めます。」

帝劇の地下作戦指令室に、藤枝かえでの声が響く。

「か、かえでさん。『定例集会』ってなんなんです? 初耳ですが……」

「……大神くん。男は細かいことを気にしていてはダメよ。」

「し、しかし……」

「…………キャンキャンキャンキャン、五月蝿いねェ!!」

「なんでいきなり『姐さんモード』に入ってるんですか!?」

「……『漢(おとこ)』が……泣いてるよ!!」

「あ〜、もう、わかりましたよ!! 続けて下さい!!」

「よ・ろ・し・い・☆。 ……さて、今日集まってもらったのは他でもないわ。この夏も歌謡ショウが開催されることになった訳だけど……どうも元星組の二人の持ち歌が少ないのが気になっているの。」

「あ〜、そう言えばそうですね。織姫くんなんか、確かまだ1曲しかなかったし……。
……でも、その辺は支配人たちも、ちゃんと考えてくれてるんじゃないですか? なんか、田中先生がひそかに動いてる、ってウワサも聞きましたよ。」

「大神くん、油断は禁物よ。備えあれば憂い無し、とも言うことだし……と言うことで、今日はこの私が、織姫とレニのために新曲を作ってきてあげたわ。」

「いいっ!? か、かえでさん、作曲なんかできたんですか!?」

「当然よ。帝撃の副指令としては、作詞作曲くらい、できて当たり前でしょ?」

「い、いや、そんなこともないと思いますけど……」

「……キャンキャンキャンキャン、五月蝿いねぇ……」

「ああ、もう、わかりました! もうツッコミません!!」

「よ・ろ・し・い・☆。 ……じゃ、これから私が歌ってみるから、織姫とレニはもちろん、他のみんなも、正直な意見を聞かせてちょうだいね。
……加山くん!」

かえでが指をパチン、と鳴らすと、加山雄一が音もなく現れて、白いギターで音楽を奏で始めた。

(か、加山……お、お前、それでいいのか……?)

そう思いつつ前奏を聴いていた大神は、あることに気付いて慄然となった。

(こ……この曲は……何だか聴き覚えがあるぞ!? 本当にかえでさんが作曲したのか? ……俺には『ラ・○ーヌの星』の主題歌のように聴こえるんだが……!?)

そんな疑問を大神が口にする前に、かえでは歌い始めてしまっていた。


  吹け吹け 赤い風
  吹け吹け 赤い風
  グランドピアノの音色が
  あの空に飛んで
  真っ赤な地中海の風になる

  (たのしいデ〜〜〜ス!)

  レニの暗さを おぎなうために
  変な日本語 使うのだ
  朝が来ても 寝てるワタシ

  ち ち 地中海 地中海の風


「なんなんデスかあ〜〜〜っ、そのナメくさった歌は! ワタシ、変な日本語なんて使ってませ〜〜ん!!」

「……い、いや、そこは文句を言う所じゃない気もするが……かえでさん、『レニの暗さをおぎなうために』ってのは一体……?」

「……やっぱりバランスの問題かしらね。『2』の新キャラが2人ともシリアスじゃまずい、という計算じゃないかしら。」

「何の話ですか、何の!! ……第一、今の歌、作詞作曲じゃなくただの替え歌……」

「大神くん!! ……男は細かいことを言わないっ!!」

「…………はいはい、わかりました……」

「よ・ろ・し・い・☆。 ……じゃ、今度はレニの曲をいくわよ。……加山くん!!」

再び加山のギターが鳴り響いた。
それと同時に、大神の背中に冷たいものが走った。

(ち……違う! 今度の曲もかえでさんの自作なんかじゃないっ!!
……こ、これは……この曲は……
……『キュー○ィーハニー』だあああぁぁっっ!!!)


  この頃流行りの 女の子
  あちこち小さな 女の子
  あっちを向いてて レニ
  だって水着を 着てないんだもん

  お願いハダカで うろつかないで
  年齢制限に 引っかかっちゃうの
  イヤよ イヤよ 18禁はイヤ
  レニ・フラッシュ!!
  
  『ひっかかるわよ。』


「「「「「なんじゃあああぁぁっ、そりゃあああぁぁっ!!!!」」」」」

今度はさすがに全員からツッコミが入った。

「な、なによ、みんな。いい歌じゃない。……ねぇ、レニ?」

「…………ノ、ノーコメント!!」

レニは珍しく激しい口調で言うと、真っ赤になってそっぽを向いてしまった。

「……もう、テレちゃって〜〜。」

「激怒してるんですっ、レニはっっ!! ……全く、なんなんですか!! 黙って聴いていればムチャクチャな歌ばっかり!! しかもただの替え歌じゃないですか!!」

「……なによ、大神くん。……文句があるにしても、そんなにズケズケ言うことはないでしょ。」

「かえでさんが正直な意見を聞きたいとおっしゃったんじゃないですかっ!?」

「………………。」

「かえでさん! なんとか言って下さい!!」

「…………キャンキャンキャンキャン、五月蝿いねェ……」

「ええ加減にしなさいっっ!!!」


……こうして、夜は無駄に更けていった。
帝都の夜明けはまだまだ遠い。
負けるな! われらの華撃団!
がんばれ! 僕らの大神一郎!!

……とりあえず、そのかえでさんは偽物だと思うぞ!!
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