黒鬼会定例集会・その3


「では、これより黒鬼会定例集会を始める。」
 帝都の地下深く、悪夢の世界を思わせる空間に、京極慶吾の声が響く。
「……時に、木喰。今日は何か話があると聞いたが?……」
「ふおっ、ふおっ、ふおっ。さよう。この木喰、ついに華撃団に対する必勝の戦術を編み出しましたぞ。」
「何!? 『必勝』だと?」
 驚く京極に、鬼王がそっと耳打ちする。
「……京極様。『必勝』とは『必ず勝つ』という意味にございます。」
「解説するなあああぁぁっ! 馬鹿にしとるのか、貴様は!?」
 こめかみに血管を浮かび上がらせて、京極が怒鳴る。
「……もう良い、お前は黙っとれ! ……木喰、話の続きを聞こう。その『戦術』とは?」
「はっ。『戦闘の具体的な術策』のことでございます。」
「知っとるわぁぁっ! その内容を聞いておるのだぁっ!!」
「ふおっ、ふおっ、ふおっ。それならそうと言うてくだされば良いのに、京極様も人が悪い。……では聞かせてしんぜよう。なに、簡単なことじゃ。これまでバラバラに戦ってきた我ら五行衆が、協力して事にあたる。……これがわしの作戦じゃ。」
 とたんに、五行衆の面々は騒然となった。
「な、なんと! つまり、我ら5人が一緒に出撃する、ということですか?」
「す、すげえ……そんなこと考えつかねえぜ、普通!」
「その手があったとは……しかし、そんな凶悪な作戦を考え出すなんて……味方とは言え、恐ろしい奴……」
「ああ……あたしも正直、ゾッとしたよ……」
「ふおっ、ふおっ、ふおっ。……いかがでございますかな、京極様? 」
「ふっ……よくぞ考えた、と言いたい所だが……愚か者め! その作戦には致命的な欠陥があるわっ!!」
「そ、そんな馬鹿な! わしの計算に間違いはないはず……」
「まだわからんのか! では、花組の人数とわれらの人数、比較してみるがいい!」
 その言葉に従い、さっそく五行衆の面々は計算を始めた。
「え〜と、花組は確か9人だよな。……俺たち五行衆って、何人だっけ?」
「5人に決まってるでしょ! 本気で馬鹿ね、まったく。」
「え〜と、9人と5人を足すと、ひい、ふう……ちっ、指が足りねえな。おい、土蜘蛛、協力しろ。」
「そこで足し算してどうするんだよ!」
「ちっ、ケチケチすんなよ! 27本も指があるくせに!」
「なんなんだ、その半端な本数は!? 30本だよ、30本!」
 こうしたいささかの混乱はあったが、やがて全員が計算を終えた。
「くっ……花組は9人、我々は鬼王を入れても6人……3人もの差があるのか……こ、これは計算外じゃ……」
「わかったか! その戦術では勝てん! ……さあ、次の議題に移るぞ。」

 ……こうして、木喰の提案は却下された。
惜しい! 実に惜しい!!
今回こそ、野望に一歩近づいたかと思ったのに!
だが、くじけている暇はない。
負けるな、われらの黒鬼会!
がんばれ、僕らの京極慶吾!!
……とりあえず、算術の勉強が急務だ!!!

 〜 おわり 〜
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