「では、これより黒鬼会定例集会を始める。」 帝都の地下深く、黄泉の国の入り口を思わせる不気味な空間に、京極慶吾の美声が響く。 「……時に、水狐よ。帝劇での例の件、どうなっている?」 「はい、順調です。既に6枚手に入れました。あとはすみれと織姫でコンプリートです。」 「……なんの話だ?……」 「ですから、ブロマイドの……」 「アホか!! レニの話だ、レニの!!」 京極は早くもキレかかっている。どうやら今夜も長い夜になりそうだ。 「や、やだもう、京極サマったらぁ。冗談ですわよ、じょ・う・だ・ん。」 「それにしちゃあ、眼が本気だったねぇ?」 と、土蜘蛛が意地悪を言う。 「うるっさいわね、もう。……え、え〜と、レニの件についてはご心配なく。あの娘、戦闘の天才ではあっても、『心』は生まれたての赤ん坊同然。すでにあと一押しという所まで追い込んであります。我々の手に落ちるのも、もはや時間の問題かと……」 「ふん! 気にいらないねえ……京極さま、なぜあんな娘にこだわるのです? こんな手間をかけずとも、この土蜘蛛めに一言ご命じ下されば、帝国華撃団などひねり潰してやりますものを!」 「ひかえよ、土蜘蛛! 京極様には京極様なりの浅知恵、いや、お考えがおありなのだ!」 「……鬼王。貴様、わざと間違えておらんか?……」 「……出過ぎた真似をいたしました。しかし、土蜘蛛の言葉があまりに礼を失していたもので……」 「お前が失礼だと言っとるんだあぁぁぁっ!!」 絶叫する京極のこめかみには、危険なほどくっきりと血管が浮かびあがっている。 「……しかしよぉ、土蜘蛛の言うことにも一理あると思うぜ。大体よぉ、どうせ引き抜くんなら、あんなチビ助より、カンナとかいう奴のほうがいいんじゃねえの?」 パワー至上主義の金剛が、あいかわらず知性の片鱗すら感じられない意見を吐いた。 「あ〜ら、金剛。あんた、あの大女がお気に入り、ってわけ?」 「なっ、バッ、ちっ、ちげーよ!!」 「ふおっ、ふおっ、ふおっ。とか言いつつ、顔が赤いぞ、金剛?」 「うわあ〜い。金剛とカンナはラ〜〜ブラブぅ〜〜〜☆」 「ちっ、ちがわい! ちがわい!!」 「やめぇぇい! 小学生か、貴様らはぁぁっ!!」 頭を掻きむしりながら、京極がわめく。ここ数分で、随分老け込んだ感じだ。 「ふおっ、ふおっ、ふおっ。ではそろそろ、わしが説明してやろうかの。京極様がレニとやらに執着される理由を。」 「なんだい、あんたは知ってるってのかい、木喰?」 「もちろんじゃ。わしの計算に狂いはない。……良いか、皆の衆。水狐の報告によると、あのレニという娘は、誰かに背後に立たれると、反射的に攻撃してしまうという。 ……どうじゃ、誰かを思い出さんか?」 「……なんだよ、勿体ぶるなよ。一体誰を思い出すってんだ?」 「それはズバリ、『ゴ○ゴ13』じゃ。そしてゴル○と言えば……ほれ、京極様のお顔を良〜く見てみい。」 「ああっ!! 目元のあたりが○ルゴそっくり!?」 「さよう。そういう訳で京極様は、レニという娘に『しんぱしい』を感じておられるのじゃ。」 「そんな訳あるかあぁぁぁっ!! それに時代を無視した会話はやめろおぉぉぉっ!!!」 「クックックッ……わかってない。全然わかってませんね、あなたがた。」 「なんだぁ、偉そうに?! てめぇ、火車のくせに生意気だぞ!!」 「……そういう言い方はちょっと……ま、まあいいでしょう。教えてさしあげます。京極様がレニにこだわる理由、それは!」 「……そ、それは?」 「……『スクール水着』なのです!!」 「なんじゃあ、そりゃあああぁぁぁっっ!!!」 「あ、とか言いながら京極様、まんざらでもないって顔ですぞ。」 「うわあ〜い。京極様とレニはラ〜〜ブラブぅ〜〜〜☆」 「すくうる水着か……あした買いに行こ。」 「……あんた、なに考えてんの?」 「きっさっまっらあぁぁ……いい加減にしろおおおぉぉぉっっ!!!」 ……こうしてまた、帝都の夜は更けていった。 野望の達成までの道のりは、まだまだ遠い。 と言うか、一歩ずつ着実に後退している!! 負けるな! 我らの黒鬼会! がんばれ! そして誕生日おめでとう、 ぼくらの京極慶吾!! 〜 おわり 〜 |