ある春の日の土佐日記
〜ある春の日の一日〜
1999年4月2日 高知・南国市までのドライブ記
3月末
♪春を探しに行こう〜
なんて歌を口ずさみながら愛車に乗り込む。
この時期お気に入りのコース
高知県南国市までの国道32号線。
何個所か難所がある。
曲がりくねった上り坂の続く猪鼻(いのはな)峠
延々と下り坂の続く根曳(ねびき)峠
初めて走った時には、もう家に辿り着けないのではないかと思うくらい恐かった。
今となってもそうではないとはいえないが
風光明媚と一言では言い表せないくらいの魅力があるから
この時期になるとこのコースを選んでしまう。

「こんぴらさん」で有名な香川県琴平町を過ぎると
見えてくるのは山・川・田んぼ
そして一番の魅力が桜の花
猪鼻峠の山に咲く山桜の淡い紅色
山間の駅に立つソメイヨシノの言葉通りの桜色
寒い冬を越した深い緑色とこげ茶色の山々に希望の光を与える。
こんな光景が道のあちこちで見られるのが楽しい。

楽しみなのは桜の花だけではない。
れんぎょうの黄色、かいどうのピンク色
菜の花、桃の花、ユキヤナギ、パンジー等々
主役は桜の花だけじゃないんだぞ!
そう言わんばかりに小さな存在たちは様々な淡い色を山々に添えている。
少し暖かくなった日差しはそんな春の歌声を柔らかく包み込んでいる。
単一の色の世界が短い時間パステルカラーの世界に変わる
こんなのどかな風景はこの時期にしか見られないもの
これがまた楽しみなのである。

南国市までは車で片道3時間近くかかるが
こんな景色を見ながらのドライブだからあまり苦にはならない。
ただ…
ぽかぽか陽気の為にふと睡魔に襲われることが不安の種なのだが。

両側が山で囲まれ、道に沿って大河が流れる。
そんな場所を走り抜け、目的地南国市に辿り着くと
そこに差し込む太陽の光。
地名通り南の国を思わせる。
一筋に延びる太い道とソテツの木々
冬眠をする生物ではないが
心の中で眠っていたものが、目を覚まし動き始める。
閉じられた世界から無事解放された
そんな気持ちになる。
さて
今年も走りに行こう。
なんて思って出かけたのが、今年は4月2日になってしまった。
桜の花は満開も美しいが
咲き始めてまだまもない頃の花は、桜色よりもむしろ白色に近く
太陽の光を通してわずかに入る紅の一筋がまた一興だったりする。
ところが、これを楽しむには少々時期がずれてしまった。
花の時期は短い。
きっと今年は見れないだろうな。
そう思いながら走り出す。

だが、事態はもっとひどかった。
雨!!
暖かな日差しには出会えず
八分咲きの桜の花は、雨に濡れ泣いているように見えた。
せっかくの素敵な絵画をお見せできなくてごめんなさい。

これも又しかたないこと。
これはこれでまた違った良さがあるから
だけど
来年こそは会えるといいな。
笑顔の桜達に。


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今回走ったのは、香川県・琴平(ことひら)町〜高知県・南国(なんこく)市までの国道32号線。(片道約130km)
その間にある観光スポットについて少しご紹介させて頂きます。

☆琴平町…香川県の観光名所のひとつ、金毘羅宮(ことひらぐう、愛称:こんぴらさん)のある町。
象頭山(標高524m)のほぼ頂上近くに社があり、1,368段の石段を登って参拝に行く
(これが結構大変なんだな。)
ちなみに裏参道もあり、こちらは途中まで山登りのコース。
自然を楽しむにはお勧めですが、入り口が見つけ難いとか。
実は、ここは有名な桜の名所。
『琴平』という桜の種類があることを、大阪造幣局の桜の通り抜けに行って知りました。

☆ 大歩危(おおぼけ)…『歩危(ぼけ)』とは危険という意味。
昔、旅人がこの辺りを超えて行くのが危険なくらい大変な道だったという理由からつけられているそうです。
ちなみに大歩危の手前に小歩危(こぼけ)という所もあり。
渓流下りが楽しめ、山と吉野川の美しさを見るのに最適の場所。
川の色は澄んだ緑色、ごつごつした大きな岩が川の中に見られます。
五月の頃を選ぶと青葉若葉の奇麗な風景に出会えます。

☆吉野川…利根川、筑後川と共に、日本の三大河川に数えられる川。
源流は高知県瓶々森(標高1,897m)の標高1,200m地点から徳島県を通り
紀伊水道へと四国を東西に流れる全長194mの河川。
上の文中に出てきている川とはこの吉野川のこと。
山に囲まれた国道32号線に沿って流れており、その景色の美しさについてはすぐ上の
大歩危の項で紹介しています。

☆大豊町…南国市の手前にある山の中の町。
日本一の大杉がある。
これは国道32号線からちょっと離れた所にある八坂神社の境内にある夫婦杉のこと。
高さ60m、樹齢約3,000年になる木で国の特別天然記念物に指定されています。
あの偉大な歌手『美空ひばり』が日本一の歌手になれるようこの杉に祈願した
エピソードがあり、この木に願い事を祈願すれば叶うという話も?!
まわりを木々で覆われているせいもあって、どことなくひんやりとして神聖さが漂う
空間でした。

以上観光スポットをご紹介させて頂きました。


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<お・ま・け>

喫茶テイゲキにちなみまして、南国市へのドライブの際、毎度のことのように立ち寄って
いる喫茶店について紹介します。

高知・南国市に入り、国道32号線を更に進むと「ゆず庵」という喫茶(レストラン?)があります。
ここのマスターがちょっと…ではなくかなりの道楽者。
といってもお会いして直接話した訳ではないのですが、店の雰囲気でなんとなく分かってしまうのです。

必ず店の前に2、3台置かれた変わった形の自動車。
(今年は黄色く丸っこい車。猫の顔のような柄のペイントを施したもの。但し、車の銘柄は不明)
行く度に置いてある車が違います。

店に入るとレトロなおもちゃが並んでいます。
昔パチンコ店に行くとあったと思いますが、直接打つパチンコ台。
春休みともあって子供さんが並んで遊んでいました。
柏手を打つと門が開いて、なぜか水着姿のマスターが登場する神社のミニチュア。
大きな陶器の皿の上においてあるトンカチ。
たたくと『パリーン』と大きな音がする、実はおもちゃ 等々。

さらに中に入るとさすがは商売人。
高知の名産品?それとも店の名にちなんでか、ゆずを扱ったジャムや佃煮の瓶詰め、
土産物のまんじゅうやせんべい等を並べたコーナーがあります。
この一角をさりげな〜く通りすぎ、ウエイトレスさんに席に案内してもらいました。

ここは、おもしろい名前の定食メニューがあります。
(う!メニューの名前、忘却の彼方だ〜(陳謝))
しかぁし、今年はなんと名物メニューなるものができていました。
その名は「オムライス!」。
たかがオムライスというなかれ。
実はただのオムライスではないらしい。
メニューにはこう説明がありました。

「材料の卵と鶏肉は隣の愛媛県から取り寄せた地鶏のものを使用。
ライス用の玉ねぎも地元高知の契約農家に頼んで作らせている。
そして
オムライスを作るだけの専門チーフが存在する!!
その為、注文があってから作られるというこのオムライスは、このチーフがいないと食べられない。」

これはぜひとも頼まねばと思い、『オムライス&ネギトロ丼のハーフ定食』ってのを注文しました。
高知はかつおが有名ですから、ネギトロもおいしいだろうって思って…。



どちらもおいしゅうございました。

ってこれだけって言わないでね
こんなセリフしか出てこないのですが、でもおいしかったです。
名物というだけあってソースの味もなかなか(薄味でしたが)、卵の焼き具合も柔らかでした。
絶対損はさせません!!
そんな声が聞こえてきそうでした。
『ご・ち・そ・う・さ・ま☆』

ちなみにここのメニューブックについて。
最初、テーブルの上に置きっぱなしの新聞紙を見て、片付け忘れかなと思っていたのですが
よく観察すると各テーブル毎に1つずつ置いてある。
あれ?っと思い開いて見ると…。
これがメニューブックだったんです。
だ・ま・さ・れ・た〜と思いました。

こんなちょっと変わった喫茶店。
来年も又、新たな感動を楽しみにしています。


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以上を持ちまして、高知ドライブ日記+α。
終了いたします。
どちら様もお忘れ物のないようにお気をつけてお帰り下さい。
ご来店、ありがとうございました。

(って、あれれ??)

土地感のない方も楽しんで頂けるよう配慮したつもりですが、何分未熟な筆のもの。
もしご質問等あればお待ちしていますのでよろしくお願いします。
最後になりましたがこのような雑記をお読み頂きました皆様、ありがとうございました。

1999年 9月 美咲 緑
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